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還暦を迎え、身の丈に合った、無理をしない、シンプル・ライフ備忘録

カテゴリ: 最近読んだ本

地域の図書館でふと目に留まったので借りて読んでみた。

『中央公論』2024年12月号の特集
「孤老」時代をどう生きるか
(特集の紹介ページを引用)
運転ミスで事故を起こしたり、インターネット動画で陰謀論にハマったり、
家をゴミ屋敷にしてしまったり・・・
高齢者のトラブルを耳にする機会が多くなった。
高齢単身者が増加し、うまく「老いる」ことが難しい現代。
孤独に打ち克ち、明るく生きていくヒントを探る。

目次から抜粋
・老いは大変だけと面白い
 90代に入って見えてきたもの
・カギは自立して自流を貫くこと
 「平場」の新しい出会いを積極的に楽しむ
・老後ひとり難民急増の衝撃
・陰謀論や過激思想にはまらないための9ヶ条

 「ネット右翼になった父」を検証して
・孤独死・ゴミ屋敷が他人事ではない理由
 現場で見てきた部屋、遺品、依頼主、トラブル


「老い」は誰にでも必ずやってくる。社会や価値観が多様化しているという言葉をよく聞くが、「老い」をどう迎えるかも多様化していると感じた。
また、そもそも「老い」ということを漠然とは意識したことはあっても、それほど実感を持っていなかったが、自分が60代となり定年を迎え、そして年老いた親の様子を見るにつけ、「老い」との向き合い方を考えなくてはならない現状に直面していると感じた。

バトラー後藤裕子 2015年 岩波新書

本書「おわりに」から抜粋

子どもは語学学習の天才であるかのような思い込みは、保護者はもちろんのこと、一部の教育関係者や政策立案者の間でも根強い。

そこで、外国語の習得について、科学的に何がわかっていて何が憶測なのかを、一度きちんと整理してみたいと思ったのが、この本を執筆することになった直接の動機である。

実証研究の結果を整理したうえで、何が現実的な期待であり、どのような形で早期外国語学習を導入してあげることが子どもたちにとってよいのかを考えてみたかったからである。

目次から抜粋

第1章 逃したらもう終わり? ―臨界期仮設を考える
第2章 母語の習得と年齢
   1 赤ちゃんの言語習得
   3 手話の発達と習得開始年齢
第3章 第二言語習得にタイムリミットはあるか
   1 子どもの耳は本当に優れているのか
   3 母語と第二言語の語彙習得はトレードオフの関係?
   5 脳科学は救世主となるか
第4章 習得年齢による右上がりの線 ―先行研究の落とし穴
   1 年齢と習得期間のジレンマ
第5章 第二言語学習のサクセス・ストーリー
   1 大人から始めてもネイティブなみに話せるようになるか
第6章 外国語学習における年齢の問題
   1 「早いほど良い」という神話
   2 学習開始時期か授業時間数か
   3 読み書きの習得
第7章 早期英語教育を考える
   1 早期開始より量と質
   2 読み書きの導入
   3 誰が指導するのか
   4 英語分断社会

松永K三蔵 著  2024年 講談社

話の展開に引き込まれ、この週末に一気に読むことができた。

(本の帯の紹介文から抜粋)
第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……

片田珠美 著  2024年 講談社現代新書

著者は精神科医。臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。

「はじめに」「もくじ」から抜粋。

「私は精神科医なので、自信をなくして不安になったり、イライラして眠れなくなったりした方を診察する機会が多い。その背景には、たいてい人間関係をめぐる悩みが潜んでいる。
 これまで7000人以上を診察してきたが、最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみだ。」

第1章 職場を腐らせる人たち
 事例1 根性論を持ち込む上司
 事例2 過大なノルマを部下に押し付ける上司
 事例3 言われたことしかしない若手社員
 事例4 完璧主義で細かすぎる人
 事例5 あれこれケチをつける人
 事例6 八つ当たり屋
 事例7 特定の部署にこだわる人
 事例8 いつも相手を見下す人
 事例9 相手によって態度を変える人
 事例10 他人のせいにする人
 事例11 不和の種をまく人
 事例12 他人の秘密を平気でばらす人
 事例13 その場にいない人の悪口を言う上司
 事例14 陰で足を引っ張る人
 事例15 ストーカー化する人
第2章 なぜ職場を腐らせる人は変わらないのか
 ① たいてい自己保身が絡んでいる
 ② 根底に喪失不安が潜んでいる
 ③ 合理的思考ではなく感情に突き動かされている
 ④ 自分が悪いとは思わない
 他
第3章 腐る職場でどう生きるか
・まず気づく
 「職場を腐らせる人に対処する上で何よりも大切なのは、まず気づくことである。上司や同僚に職場を腐らせる人がいることに気づけないと、その一連の言動によってあなた自身が心身に不調をきたすかもしれない。」
・見極める
・ターゲットにされやすい人
 「・・・重要なのは、職場を腐らせる人が必ずターゲットを選んでいるということだ。」
・ターゲットにされないために
 他


著者は、日本の教育についても語っている。
「自尊心も、自己表現も、『自分を好きになること』も、日本の教育が現在目指しているものに他ならない。・・・大勢のナルシストを生み出す結果を招いても、不思議ではない。」
「現在の教育において何が一番問題かといえば、『甘やかし、褒めすぎる親たち』が多いことだろう。・・・『褒めてやれば自尊が高くなり、ひいては成功につながると信じている。また、褒めれば成績が上がる、褒めればホメるほど能力が伸びると思い込んでいる』・・・」
「もちろん、子どもの頑張りを認めず、叱ってばかりいるのがいいとは思わない。だが、実際にはできていないのに、それをきちんと指摘せず、褒めてばかりいるのは、いかがなものか。このような教育は、実際には大したことがなく、むしろ本当はダメなのに自分をすばらしいとかすごいとか思いこむナルシストを生み出しやすい。」
「その典型・・・高学歴なのに仕事ができず、承認欲求をこじらせているため、常に『自分はこんなにすごいんだぞ』とアピールし、相手を見下さずにはいられない。」
「うまくいかないことがあっても、自分がダメだからとは決して思わない。」
「他人に責任転嫁して、被害者面をする。あるいは、うまくいっている人を見ると強い羨望を覚え、誹謗中傷したり、引きずりおろそうとしたりする。」




90代になっても輝いている人がやっている 『トシヨリ手引き』

和田秀樹 著  2023年 毎日新聞出版

目次から
プロローグ 6000人以上のおトシヨリを診て、願うこと
第1章    これからの「老い方」を知っておくと、ラクになる
第2章    「やってみたかったこと」が意欲を生み出す
第3章    すぐやりたくなるトシヨリ手引き
第4章    トシヨリは、わがままがいい
第5章    「いい医師」「いい病院」を見分ける手引き
第6章    認知症を先延ばしにする手引き
エピローグ  「最期」について思うこと

筆者は、プロローグで「トシヨリらしく」は捨てましょうと言っている。
おトシヨリが人生の最期で後悔したおもなものは、
・もっと好きなことをしておけばよかった
・もっといろいろな経験をしておけばよかった
・もっと自分の楽しみを優先すればよかった
・もっと周りに、自分の本当の気持ちを伝えておけばよかった
・お金を自由に使っておけばよかった
・医者の言うことを聞きすぎなければよかった

「おトシヨリは、勝手気ままに生きるのが一番よく、『わがまま』がおトシヨリを元気にする」と述べているが、それも程度による。周りが困るかも・・

認知症については、こう述べている。
「人ななぜ認知症になるのでしょうか。答えは、シンプルです。年をとるからです。」
「病気ではありません。歳を重ねていけば、誰でも認知症になる」
「認知症が怖いと思うのは、ある日突然、『自分や家族のことがわからなくなってしまう』と誤解しているためではないでしょうか」
「でも、ちょっと考えてみてください。『朝起きたら、自分の髪の毛が全部なくなっていた』などということは、起こりません。だんだんと抜けて、薄くなっていくものです」
「大事なことは、認知症の進行を、少しでも遅らせることです」
「認知症の進行を遅らせる最良の方法は、頭を使い、身体も使い続けることです」


母は、今年数えで90歳。「卒寿」を迎えた。
元気に過ごしてくれているのが何よりだ。

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